ASIA(O2) SHUMI no OHEYA

 

  【Love Affair】
B5サイズ・40ページ
2009年5月4日発行
\500
SOLD OUT


スピ受け仲間の猫家さんとの合同 エアギア本第4弾です!! 今回は初心に戻って左スピです♪
ひたすら左スピ。もう、左とスピしか出てきてないぐらい!! 加えて今回はエロです!! R18指定するまでではないと思うんですが…商業BLレベルですが、漫画も小説もエロ有なので、ご注意ください!!

【R18指定】※R18本です
18歳未満の方には販売できません

※この本は海外への発送はできません。 The shipment to foreign countries is not possible.

猫家さんも私も、18巻の後あたりを妄想で描いています。 私のは「Strawberry Candle」の続きっぽくなってますが、あらすじ付きなので問題なく読めます!! 以前『この後の左が楽しいので描きたい』と書いていた部分をやっと漫画にできました!! 振り回されまくりな左って描いてて楽しい〜♪

発行が伸びてしまって…表紙が冬ですが、
2009年のGWの新刊です!!

SOLD OUT
完売・販売終了
ありがとうございました

 漫画・1ページサンプル 星野うり

 
小説・一部サンプル 猫家さとる


 眠りの森メンバーであるガビシを捕縛した後、ジェネシスの本部であるビッグバードへと連れて行った。ビッグバードには既にシムカとスピット・ファイア、それからヨシツネが待っていた。他にも何人か待機している。ジェネシスの傘下チームだろう。ファーのついた上着を着用している者も何人かいた。待機していたメンバーにガビシを引き渡し、帰る間際、スピット・ファイアと目が合ったがそれだけのことだった。
 
 空気がピリピリしていた。その場にいた全員が緊迫していた。情報が手に入ればジェネシスが有利となる。拮抗していた力のバランスが崩れる時だ。穏やかさなど存在する筈がなかった。
 
 その日以来、雨が降っていた。ガビシを捕縛してから二日経っている。雨は降り続け、止む気配がない。朝から薄暗かった空が、更に闇を濃くする気配を見せる夕方に一通のメールが届いた。
 
 ――今晩、行くよ。
 
 簡潔な本文に思わず苦笑が零れる。昼間、ビッグバードで見かけたスピット・ファイアは疲れているように見えた。上手く情報を引き出せないようだ。尋問はヨシツネがしているらしいが、スピット・ファイアも付き添っている。気が急いているのだろう。降り続ける雨は無用に不安を掻き立てる。
 
 メールに返信はしなかった。いつもなら「行ってもいいかい?」と打つスピット・ファイアが「行くよ」と一方的なことをするのは珍しい。不可の返信を送っても来るだろう。困ったような笑顔を浮かべながら、スケジュールを確認する。幸い、大した用事はなかったから全てキャンセルした。今日でなくても済む用事ばかりなのは何よりだった。
 
 時間を確保した左は立ち上がり、車を出す。こんなことをしている暇があるのかどうかと問われたら、ないと答えるべきなのだろうが、休息というものは誰にだって必要だ。だからスピット・ファイアはメールを送ってきたのだし、それに色々あって大変なのだろう、その苦労を少しでも和らげることが出来るのが自分だとしたら、その為の時間ぐらいくれてやってもかまわない。これは恩を押しつける為の行動なのだ、と、誰にともなく言い訳をし、今夜のことを考えた。スピット・ファイアのことだ、食事さえきちんととっていない可能性がある。折角なのだから、手料理でも振る舞ってやろう。計画を練っている時の左は浮かれているといってもおかしくなかった。
 
 八時頃、ふらりとやってきたスピット・ファイアは用意された食事を平らげ、満足そうに「ごちそうさまでした」と言い、左を良い気分にさせた。
 
「左君って器用だね」
 
 器に盛られたバニラアイスクリームをスプーンで掬い上げ、口へ入れて頬を綻ばせた。
 
「わざわざありがとう。おいしかった」
 
「時間が余って暇でしたから、ついでと作っただけですし」
 
「言い訳としてはいまいちだね」
 
 目を細めて笑うスピット・ファイアに、眉を寄せるが、変わらず笑った顔があるだけだ。何か言い返そうと口を開く前に、スピット・ファイアが立ち上がり、吐き出されるタイミングを失った言葉は咽奥に消える。
 
「シャワー、浴びてくるね」
 
 あっさりと言い、背を向けたスピット・ファイアに左は狼狽えた。いつもならくだらない言い合いや、探り合うように近況を尋ねたりして、時間を潰す。そうして言葉が少なくなってきた頃、微妙な雰囲気から逃げるようになのか、それとも身を任せるようになのか、キスをする。そして、体を重ねる。
 
 何かあったのだろうか、と、悶々としている間にスピット・ファイアが帰ってきた。
 
「左君は?」
 
「え、ああ、ハイ」
 
 狼狽えていることを隠すように立ち上がり、シャワールームに向かう。ちらり、とスピット・ファイアの方を見れば、部屋を暇そうにウロウロしている。かと思えば、窓辺に寄りかかり、ぼんやりと外を見ていた。
 
 熱いシャワーを浴びながら、ちいさく息を吐いた。いつもと違うことが左に溜息を吐き出させる。
 
 どうするべきなのか。と、考えて込んでみたはいいが、スピット・ファイアに関しては思い通りになったことなどなかったと気付き、自嘲する。情けないとは思う。思うが、どうしようもないことだった。だが、振り回されるのはいつものことだ、と気付けば、落ち着きが戻ってきた気がする。
 
 部屋に戻ると、スピット・ファイアの姿が見えなかった。一瞬、固まり、部屋の中を見回そうとした瞬間にすぐ隣からクスクスと笑う声が鼓膜を叩いた。すぐ隣の壁にぺったりと背を預け、左を見て笑っている。
 
「びっくりした?」
 
「くだらないことをしないでください」
 
 むす、と眉間に皺を寄せると、スピット・ファイアが手を伸ばした。頬の近くに伸ばされた手のひらに、びく、と体が跳ねる。スピット・ファイアは優しい顔で笑うばかりで、行動の理由など話してくれそうにない。手のひらが頬に押しつけられた。頬と手のひらの間に生まれた体温に混乱し、言葉を失っていると、むにーっ、と頬を摘まれる。唐突なことに更に混乱した。
 
「間抜け顔」
 
 先ほどまでの優しい笑顔は消えて、目を細め、口角を持ち上げた嫌な笑みだけが浮かんでいる。
 
「何を期待したか、教えてよ」
 
 ぐ、と言葉を詰まらせる左にスピット・ファイアはニヤニヤと笑う。優しく頬を撫でられた時、何を期待したのか。そんなことは分かっている。優しく頬を撫で、その手が首へと回り、引き寄せ、スピット・ファイアから口付けをしてくれることを望んだ。だが、そんなこと言える訳がない。
 
「期待していた通りにしてあげる」
 
 浮かぶ表情は微塵も変わりなく、嫌な笑顔だ。混乱も困惑も既に消えている。スピット・ファイアの笑顔は神経を逆撫でるには十分なものだ。
 
「そうですね。あなたが私に跪くことを期待しましたが?」
 
「そう、どうやって?」
 
「どうって……」
 
 どうしていつものように軽口を叩かないのか、何もないところに放り出されたかのような不安が不意に体を包んだ。どうやって、と、言ってしまえばスピット・ファイアは本当にその通りにしてしまうのではないかと思わせる雰囲気が怖かった。頭を垂れ、恭しく足下に跪く。見下ろせば、伏せられた睫毛が目に入る、そんな情景が脳裏に浮かび、慌てて振り払う。思わず口走ってしまいそうな唇を軽く噛み締めた。

 

続きは「Love Affair」にて